飼い犬がトラブルを起こし、裁判になった事例はたくさんあります。飼い主には犬の世話をし、きちんとしつけをし、トラブルを起こさないように管理する義務があります。その義務を怠ったとみなされた時には慰謝料などを請求されるかもしれません。

また、飼い犬がトラブルに巻き込まれる例もあります。日本の法律の現段階では犬は飼い主の所有物とみなされ、人間の家族と同等の権利を得ていません。そのため今は裁判事例はあまりありませんが、今後の法改正によって増えていくことが予想されます。

裁判事例①

飼い犬のトラブルで多いのは無駄吠えによる迷惑行為です。飼い主たちには飼い犬の無駄吠えを減らさせる義務があります。飼い犬の無駄吠えにより近隣住民に迷惑をかけた場合裁判になることもあります。

実際の裁判の例を挙げてみます。

犬が深夜や早朝に吠える声が近所中に聞こえてしまう。短い時は5分、長い時は3時間にも渡ることが確認された。近所に住む家族は犬の声によって睡眠不足になり、男性が一人神経衰弱に陥った。そのため裁判所は飼い主に慰謝料を払わせる判決を下した。

飼い主は犬の無駄吠えを減らすために、適度に運動させ(散歩につれていかせ)、食事を与え、しつけをしなければなりません。この場合、飼い主はそれらを怠ったとみなされ、慰謝料を請求されてしまいました。

犬は吠えるものとされていますが、その度合いが「異常」と見なされれば裁判沙汰になることもあります。犬を飼う以上、吠えるのを防ぐためのしつけをしっかりとしなければなりません。

裁判事例②

飼い犬のトラブルといえば、噛みつきの事例もたくさんあります。犬は本能で獲物と見なしたものに噛みついてしまいます。飼い主には飼い犬が噛みつき、人や物を傷つけないようにしつけをする義務があります。

実際の事例では、大型犬が目立ちます。土佐犬が3歳児に噛みつき、頭蓋骨陥没骨折などの全治1ヶ月のけがを負わせたという事件がありました。この事件の場合、飼い主には重過失傷害罪が成立しました。

特に大型犬による噛みつきは重大なけがになりかねません。死亡したという例もあります。また、被害を受けたものは人間だけではありません。他人のペットや物を壊してしまう恐れもあります。

大型犬に限らず、犬を飼う際には噛みついて人や物などを傷つけないようにするためのしつけを行わなければなりません。もし噛みついてなにかを傷つけた場合、飼い主が責任を取る義務があります。

裁判事例③

飼い犬のトラブルは、犬や飼い主が加害者になるばかりではありません。飼い主が目を離している間に犬が傷ついてしまうことがあります。

例えば逃げた犬が車に轢かれて死んでしまうというトラブルも少なくありません。また飼い主がいる犬を勝手に連れて帰って飼育してしまうという人もいます。最悪の場合他人の飼い犬を虐待して殺すという事件もありました。

他人の飼い犬を殺したり傷つけることは「器物損壊」にあたります。
また、勝手に連れて帰ることは「窃盗」です。飼い犬は法的には飼い主の所有物です。他人の所有物に勝手なことをしてはいけません。

ただしこれらのトラブルは裁判の判例としては少ないのも事実です。犬はペットであり所有物としてみなされているため、人間の家族同等の扱いを受けることができません。そのため裁判にかける場合費用などがかさむだけで、あまり慰謝料などをもらえません。弁護士もそれが分かっているため、裁判になったとしても「苦手」と感じている人は多いです。

今後の法改正によって、ペットが人間の家族と同等の権利を得られるようになると、裁判事例も増えてくるかもしれません。現在日本では動物愛護への意識が高まっているため、その可能性も存分にあるでしょう。

まとめ

飼い犬がトラブルを起こしてしまうのを防ぐよう管理する義務が飼い主にはあります。無駄吠えや噛みつきをなくすよう、犬を世話してしつけなければなりません。また、逆に犬がトラブルに巻き込まれないように注意する必要もあります。