「あなたの愛犬や愛猫のクローンを作って一緒に暮らせる」
SF小説や映画の世界ではなく、それが現実になってきています。
実際に、韓国やアメリカの会社が、世界に向けてクローンビジネスを展開しているんです。でも、それって果たして本当に喜んでもいいことなんでしょうか?
目次
「ペットのクローン化」亡き愛犬をもう一度よみがえらせることは可能?
近年、亡くなったワンちゃんにそっくりなクローン犬を作る技術が発達していることをご存知ですか?
あなたの愛犬も、生前のままの姿でよみがえらせることが可能となってきているんです。
世界で初めてのクローン羊である「ドリー」が誕生したのは、もう20年以上も前の1996年のこと。
この時、将来は人間のクローンも作れるようになるのかと、不安と期待が入り混じった複雑な気持ちを持つ方が多くいたように思います。
その後、このクローン技術は目立たないうちに発展を続け、現在ではその技術を取り扱う韓国の研究所やアメリカの会社に対して、世界中から注文が殺到しているそうです。
その大多数は、愛犬と死別したくないと考える飼い主さんからの「亡きペットのクローンを作って欲しい」という依頼なんですね。
クローン犬の価格について
韓国のソウル市南西部に位置する「スアム生命工学研究院」では、2006年に初めてクローン技術を使ったクローン犬が誕生しました。
その後、2008年からはその技術を元にビジネスを展開しています。
クローン犬を一匹作るのに、何と10万ドル(日本円でおよそ1100万円)で取り引きしているんです。これは、愛犬を亡くした飼い主さんにとっては、それでも安い金額となるんでしょうか?
もちろん、日本を含めて世界中から依頼が来る「亡くしたペットを復活させること」をビジネスの主流としているんです。
また、アメリカの「ヴァイアジン・ペッツ」という会社もペットのクローンを作る事業を展開しており、その評判も上々です。
この会社では、スアム生命工学研究院の半額となる5万ドル(日本円でおよそ560万円)でワンちゃんのクローン作りを手がけ、猫の場合はもっと安い2万5千ドル(およそ280万円)でそのクローン作りを請け負っています。
アメリカのヴァイアジン・ペッツ社にも世界中から依頼が来ていて、今は順番待ちの状態なんだそうです。
依頼者のほとんどは、一般的なペットの飼い主さんたちだということです。
クローン犬を誕生させる方法とは?
では、愛犬のクローン犬を作るには、どのような過程を経る必要があるのでしょうか?
- 愛犬が生きている間に、獣医師によってワンちゃんのDNAを採取してもらいます。
- 獣医師が採ったサンプルを利用して、細胞の培養をしていきます。
- 培養された細胞は、凍結保存施設の中で保管しておきます。
- ドナー犬から採取した卵子(未受精)の中に、愛犬の細胞の細胞核を移植します。
- 胚ができたら、それを代理母となるメス犬の体に移します。
- その後、自然に妊娠したのと同じように、クローン犬が代理母犬の胎内で育ちます。
- 代理母犬が出産すれば、愛犬そっくりのクローン犬が生まれてきます。
※死亡後の遺骨や体毛などからは、クローン犬は作れません。
おおまかには、上記のような過程となります。
でも、「あれ?」と疑問に思うところがありませんでしたか?
そうなんです!自然にわいてくる疑問として、「卵子を採取するドナー犬」や「クローン犬を胎内で育てて出産してくれる代理母ならぬ代理母犬」が必要となるんですね。
人間の場合でも、卵子を採取したり、代理母となったりするのは体力的にも大変だという話を聞きます。それなのに、何にも分からないメス犬をそのために利用するのは、考えてみたら可哀想過ぎるのではないでしょうか?
ペットのクローンビジネスには賛否両論がある
実際のところ、ペットのクローンビジネスについては、賛否両論あるのが実情です。
賛成派の意見としては、「愛するペットが生前のままの姿で帰ってくるのは、とても嬉しい」といった声があるようです。
ところが、ペットのクローンビジネスに賛成の意を表しているのは、ほとんどが外国人なんです。2017年1月頃にSNSでツイートされた意見を調べると、日本人のほとんどすべての方たちが、反対の意を表していることが分かります。
反対の理由としては、まず「倫理的な問題」が挙げられています。
たとえば、「人間のエゴにより、愛犬を物扱いしている」「生命は神から与えられるものなので、人間が勝手に操作してはいけない」といった意見が寄せられています。
実は、スアムの研究所での犬のクローン作り成功率は、2015年1月の時点で30%程度です。
現在は、もっと確率が上がっているとは思いますが、それでも死産や流産する可能性が高いのは確実です。
結局、愛犬のクローンを作ってもらうには、他の犬が何頭も犠牲になる現実があるということなんですね。
これは、考えてみたら本当に可哀想過ぎます。
また、反対派の意見には、「クローン犬を作ってみても、心は別の犬である」という声もあります。
やはり、高いお金を出してクローン犬を作ってもらっても亡くなった愛犬が本当に帰ってくるわけではありませんよね。
世界で1番クローン化された犬「ミラクル・ミリー」を知っていますか?
「ミラクル・ミリー」と呼ばれる世界最小の犬がいることをご存じですか?
その小ささでギネス世界認定されているスーパーミニチワワは、プエルトリコの家庭で飼われています。
2011年12月に誕生したメス犬で、その体重はたったの544グラムです。
肩から足までの高さは、何と9.65センチしかありません。
誕生したばかりの赤ちゃんの時は、わずか28グラムしかなかったそうです。
1才でギネス認定を受けた際には、およそリンゴ1個分ぐらいの大きさでした。
その可愛らしい写真がSNSに掲載されると、世界中の人々が魅了されてしまい、「ミリーに会いたい!」という人もいっぱいいたそうです。
そこで、ミリーは何度もインタビューを受けたり、テレビ出演したりしています。
韓国のスアム生命工学研究院も、ミリーの小ささに目を付け、そのサイズになった原因を突き止めるため、クローン犬を作り出してその遺伝子を調べたい、と飼い主のバネッサ・セムラーさんに申し出たそうです。
最初は、10匹のクローン犬を作るはずだったのが、何と最終的には49匹に増えてしまいました。そこで、ミリーは「世界中でもっとも多くクローンされた犬」としての記録も達成することになったんです。
飼い主のセムラーさんによれば、クローン犬たちは外見だけでなく性格もほぼ同じだそうです。
ただし、ミリーと比べると少しだけサイズが大きなクローン犬も混じっているのが、ちょっとした違いなんだそうですね。
日本にもクローン犬はいるのか?
実は、我が国でもすでにクローン犬が活躍しているんです。
それは、「がん探知犬」と呼ばれる人間の呼気や尿の臭いからがんの有無を見分けられる犬たちです。
近年の研究で、がんには特有の臭いがあることが分かってきています。
過去には、ワンちゃんにがんの臭いを嗅ぎ分けさせるなんて、非科学的だという意見も出ていました。
でも、今ではその効果が世界的に認められていて、継続して研究が進められているんですね。がん探知犬は、皮膚がんや内臓がん、血液がんとほとんどすべてのがんの臭いを嗅ぎ分けられるんです。
しかも、早期発見がなかなかできないといわれるすい臓がんの患者を見つけたこともあったそうなんですね。
日本でのがん探知犬第一号になったのは、元々水難救助犬として活躍していたラブラドールのメス犬「マリーン」ちゃんでした。
彼女は、水深20メートル以下の深さまで沈んでいた水死体の臭いさえも嗅ぎ分ける天才的な嗅覚を持っているんです。
しかし、彼女は子宮を摘出していたため、出産はできない体でした。そこで、クローン犬の生産を依頼することになったんです。
そして、韓国で4匹のクローン犬が誕生しました。
クローン犬たちは、日本においてがん探知犬として活躍するべく、マリーンと同じ能力を身につけるための訓練を受けたのだそうです。
何しろ、がん探知犬のがん発見率は、99.7%とほとんど100%に近いところが素晴らしいですね。
未来には、そんながん探知犬を利用した検査が、もっと一般的になっているかもしれませんよね。
個人の意見としては、クローン化反対派である!
韓国やアメリカなどで行われているクローンビジネスについて、あなたはどう思われますか?
私個人の意見としては、やはり反対です。
もしかしたら、この先もっとクローン技術が進歩して、将来的には記憶や心もそのままコピーできるクローン犬が誕生するかもしれません。
そうなれば、ペットだけでなく、人間のクローンもきっと作られることになるでしょう。
その結果、お金持ちだけが永遠の命を手に入れる可能性もありますよね。
また、各国がクローン兵士を作り出して、戦争の時には普通の人間が戦わなくなったり、命の危険のある仕事はすべてクローン人間にさせるようになるかもしれません。
クローン人間が増えれば、おそらく彼らは差別の対象となり、同じ人間なのに人権が無視されてしまう事態も考えられます。
実際、軽く考えただけでも、いろんな空想が広がってしまいますよね。
人間もペットも、その命が自然に儚く散っていくからこそ美しく尊いのではないでしょうか?人類の技術の進歩としては、クローン技術も素晴らしいのかもしれませんが、「未来的に大惨事となっても誰も責任が取れない」ことは、最初からやらない方がいいでしょう。
映画の「ジュラシックワールド」と同じようなものです。科学者の発見によって、人類が破滅に向かう可能性があるような怖ろしいことは、やはりしない方が賢明ですよね。
あくまでも、人類の本当の幸せのために進んだ科学が使われるべきでしょう。