埼玉愛犬家連続殺人事件

1993年に行なった4件の殺人事件「埼玉愛犬家殺人事件」を知っていますか?非常に残虐で異常性の高い事件としてマスコミでも連日報道されて世間に衝撃を与えたこの事件、実はペットショップ経営者夫婦が起こしていたんです。ブリーダーとして優秀と言われていた犯人がなぜこんな殺人事件を起こしたのか、その背景にある問題を知って良いブリーダーを見極める目を持ちましょう。

1993年(平成5年)に起きた悲劇「埼玉愛犬家連続殺人事件」とは

「埼玉愛犬家殺人事件」は1993年にペットショップ「アフリカケンネル」の経営者夫婦が起こした4件の殺人事件。犯人はペットショップ「アフリカケンネル」経営者の関根とその妻の風間、さらに役員の山崎の3人です。
第1の事件はアフリカケンネルで高額で犬を買ってトラブルとなった顧客、第2、第3の事件は1件目の殺人の口止め料を要求した暴力団組員とその運転手、第4の事件は嘘の儲け話で大金を出資させた主婦です。

すべて犬を殺処分する際に使われる毒薬を栄養剤を偽って飲ませて毒殺し、その後遺体が見つかることがないように処理するという手口で殺害しています。
「遺体なき殺人」と言われる完全犯罪を狙った手口、また関根がこの事件以前にも殺人を繰り返していると証言していることからも残虐性、異常性の高い犯人であることが伺えます。

しかし事件が続くにつれて、証拠となる遺体が見つからないものの噂が広まりマスコミが連日報道。犯人の関根とその妻は無実を訴えていましたが、その後警察の捜査が進み約1年後に犯人逮捕となりました。

なぜ、このような事件が起きてしまったのか

犯人である関根はシベリアン・ハスキーブームの火付け役、アラスカン・マラミュートの第一人者と言われブリーダー業界では名の知れた存在であり、テレビや雑誌に著名なブリーダーとして取材を受けたこともあります。話術にも長けていてぱっと見、第一印象では優秀なブリーダーと判断されるでしょう。

しかし実際は犬の繁殖場の建設で1億4000万円もの借金を抱えており、そのお金を回収するためになりふり構わず詐欺的な商売を繰り返していたため、顧客や近隣住民とはトラブルが絶えませんでした。時価数十万円の犬を1000万円以上で売りつけたり、犬を殺して新たな犬を売りつけるなど、ブリーダーという専門知識を悪用して顧客から金銭を巻き上げようと詐欺を繰り返したことがこの事件の背景にあります。

詐欺・詐欺まがいのブリーダーは現在進行形?現在のブリーダー業界は信用できるのか

こんな事件が起きるとブリーダー業界全体に不信感を持ってしまいますよね。その感情はごく当たり前のことでしょう。
もちろん現在のブリーダー業界でそのような詐欺が横行しているということはありません。ただ今でも「犬を本当に愛して育てているブリーダー」と「繁殖して販売するために育てているブリーダー」がいることは事実。後者のブリーダーはもはやブリーダーと呼べるのかも疑問ですが、犬に対する扱いもぞんざいで犬たちが劣悪な環境で飼育されている場合もあります。

これから犬を飼いたいと思っている人なら、絶対にそんなブリーダーには引っかかりたくないですよね。しかしブリーダーの良し悪しはぱっと見ではなかなか判断がつきません。「埼玉愛犬家殺人事件」の犯人も一部では優秀なブリーダーと言われていたくらいですから。信用できるブリーダーを見極めるためには、ブリーダーの人となりだけでなく犬の飼育環境などを時間をかけて総合的に判断する必要があるでしょう。

まとめ

多くの愛犬家に衝撃を与えた「埼玉愛犬家連続殺人事件」は「冷たい熱帯魚」というタイトルで映画化されています。満3年の実刑を終えて刑務所から出てきた山崎がペンネーム「志麻永幸」として事件の内容を記した本を出版しているので、詳しく知りたいという方は本や映画をご覧になることをおすすめします。