グレーハウンド

日本ではなかなか見ることはできないグレーハウンドは、素晴らしい脚力を持っています。そのため最速で75km/時間で走ることもあると言われるほど。古くからドッグレースの競走犬としても愛されてきましたが、近年ではその残酷性からドッグレースの中止を呼び掛ける声も上がっています。

グレーハウンドとはどんな犬種?

エジプトの壁画にも描かれていることから、5000年以上の歴史があると言われています。「チズム」と呼ばれる古代犬種の血を引いています。後にギリシャ、ローマ、ヨーロッパへと渡り、イギリスに伝わりました。

イギリスで改良が進められ「イングリッシュ・グレーハウンド」と呼ばれる犬種が作出されました。グレーハウンドの持つ圧倒的な脚力が貴族たちに愛されてきました。ハンティングドッグとして狩りに連れて行かれたり、ドッグレースにも使われました。

その足の速さには誰もが驚きます。最高速度75km/時間に達することも。優れた視力と強靭な脚力を持ち合わせています。グレーハウンドは犬の中でも最速で走れる犬と言われています。

頭は小さく、体は細い犬です。脚のもスラリと長いのが特徴。けれども胸部は発達しており、大きな肺活量があります。走るためのエンジンである胸部はしっかりと重さがあり、その他が軽量に作られているという体の構造です。

どんな性格なの?

普段から活動的で好奇心旺盛な犬です。飼い主に対する忠誠心は強く、いつも側にいたがります。一方で警戒心も強いため、知らない人にはあまり心を開きません。成長するにつれて冷静になりますが、大胆さは残ります。

穏やかな性格でもあるので滅多に吠えません。けれども運動不足になるとストレスをためてしまい、反抗的になることも。適度に運動をさせるようにしましょう。

しつけをする上では信頼関係が重要です。強い信頼関係ができあがっていればトレーニングの飲み込みも早くなります。とても忠誠心が強いので、飼い主の言うこともよく聞くでしょう。強情な面もあるので、信頼関係ができていないと反抗的になることも。

ものすごいスピードで走ることから活発な犬かと思うかもしれませんが、家の中ではとてもおとなしい犬です。物静かに暮らすことを望む犬ですので、小さいお子さんとは相性が悪いかもしれません。

グレーハウンドは日本でも飼育可能

ストレスを溜めてしまうため、適度に運動させる必要がありますが日本でも飼育自体は可能です。けれども国内で飼育している人はほとんどいません。この犬種を飼いたいのであれば海外から入手する必要があります。

短時間でもいいので思いっきり走らせることが重要です。全力で走ることでグレーハウンドはストレスを発散させることができます。かなりの速度で走るので、十分な広さの広場やドッグランなどに連れて行きましょう。

猫などの小動物を見つけると全力で追いかけてしまうかもしれません。暴走させてしまうのは困るので、飼い主のコントロールが必要です。初心者には飼育は難しいかもしれません。

海外では競走犬として大人気

その脚力とスピードのため、古くから海外では競走犬として人気を誇ってきました。イギリスではサッカーや競馬についで人気のスポーツだった頃もあります。

1レースで6頭ほどの犬が走ります。噛みつき防止のために口にはマズルがはめられます。現在でもアメリカの一部やオーストラリア、メキシコ、マカオなどで開催されています。

けれどもその背景には……

しかしドッグレースのレース犬としての寿命は2~3年と言われています。その後引退した犬たちは行き場所をなくし、殺処分されてしまうものも少なくありません。無事に里親を見つけて幸せに暮らせる犬はごくわずかです。

また子犬の頃の飼育の際にレース犬としての適性がないと見なされた子犬も殺されてしまいます。

このようにドッグレースの背景には、人間の楽しみのために殺されていく犬たちがいます。そのため中止を求める声も上がっています。アメリカでは法律で禁止している州も存在します。

グレーハウンドは非常に歴史の長い犬です。日本で飼育するためには海外から入手する必要があります。また、十分に運動させるため場所も必要です。ドッグランを走る犬として人気でしたが、最近では走らせることを反対する声も上がっています。