犬は私たちにとってかけがえのない家族の一員です。
それだけに、ただ可愛がるのではなくしつけが必要になる場面もありますよね。
でも、実は多くの飼い主さんが、しつけについて誤解を抱いているかもしれません。
「ただなんとなく叱る」「カッとなって叩く」、そんなしつけ方をしてしまっていませんか?
正しいしつけの仕方について学びましょう。
目次
褒めるトレーニング、叱るトレーニング、どちらも長所と短所があります
ずばり、「褒める」ことと「叱る」こと、どちらがしつけに必要なトレーニングなのでしょうか。
褒めるトレーニングとは、おもちゃやおやつ、撫でてあげるなど犬にとって「良いこと」をすることで犬に「お手」や「おすわり」などの行動を覚えさせる方法です。
これらの行動をした時に犬にご褒美を与えれば、犬はその行動を覚えるようになるでしょう。
メリットとしては、犬と人間の信頼関係の強化につながること。
「この行動をすると飼い主が喜んでくれる」と犬が自分で考える力を養えることなどです。
とはいえ、良い関係を築いたり、犬の自発性を待つにはある程度の時間がかかります。
ですので「褒めるトレーニング」には時間がかかるというデメリットがあると言えます。
反対に叱るトレーニングは、犬が「嫌いなこと」
たとえば叩いたり、チョークチェーンを使ったりしてある行動を減らす方法です。
このトレーニング法にも一定のメリットがあります。
嫌いなことをされたという記憶は強いものなので、効果が即効で得られる点です。
しかし、そのデメリットもまた大きなものです。
叱られてばかりいる犬はおどおどした性格になり、自信を失ってしまいます。
そして何よりも、「叱る」というのは案外難しいことです。
正しく叱ることができなければ、人を怖がるようになったり時にはやめさせたい行動を悪化させることにもつながりかねません。
もしもしつけで体罰を与えるなら、愛のある優しいムチを!
「叱る」時に一番気をつけてほしいのが「体罰」です。
犬が甘噛みをした時にその手を犬の口に突っ込んでやめさせるという方法が知られています。
この方法にしても、見方を変えれば体罰だと言えます。
大きな声を出して犬を怒鳴りつけたり、物を叩いたりするのも同じように体罰の一種になり得ます。
「体罰」は意外と身近な行為にひそんでいるそのことに気がついてほしい理由があるのです。
飼い主さんはそうやって犬を叱る時、怒りに我を忘れていることはありませんか?
何度言っても噛みつきや無駄吠えをやめない犬に、憎しみの気持ちを抱いてしまうことは?
体罰を与えれば一時的に犬は言うことを聞くかもしれません。
しかし、人が感情的になっていることは必ず犬たちに伝わっています。
そうすれば、犬との間の信頼関係はゆっくりと崩れていってしまうことになるのです。
体罰は、飼い主の意思を明確に伝えるための手段と考えましょう。
怒りや憎しみ、まして快楽のために叩いたり怒鳴ったりすることは、もはや体罰ではなく虐待なのです。
犬が自分にとっても危険な行為をして、どうしてもすぐにやめさせなければならないので体罰を用いるような場合にも、「鼻の頭をでこぴんする」「体を軽く突き飛ばす」などルールを決め絶対に犬に怪我をさせないようにしましょう。
あくまでも「愛」のある「優しいムチ」を心掛けたいですね。
体罰のタイミングについて
「優しいムチ」であるような体罰にはタイミングも重要です。
やめさせたい行動をとっているまさにその瞬間でなければ体罰を与える意味はありません。
時間が経ってから叱っても、犬はなぜ叱られたのかを理解することはできないのです。
しつけのために体罰を与えるのであれば、いたずらや悪さの現場をおさえましょう。
体罰は必要?不要?愛犬の性格をよく見極めて
そもそも犬のしつけに体罰は不要だという人も大勢います。
体罰の影響で愛犬がハンドシャイ(恐怖や痛みの経験から人の手を異常に怖がる心の病気)になってしまったという悲しいケースもあります。
しかし、褒めるトレーニングと叱るトレーニングのそれぞれに長所と短所があるように、体罰に関しても必要・不要は単純に決めつけられない問題です。
大切なのは、飼い主さんが愛犬の知能や性格をよく見極めること。
そうして自分の犬に合ったしつけの仕方を考え、臨機応変な判断をすることではないでしょうか。