ボランティア

町中で盲導犬を見たことはありますか。盲導犬は厳しい訓練を重ねてなるものだと知っている方も多くいらっしゃるかもしれませんが、盲導犬になる前の子犬の時代はどのように過ごしているのでしょうか。
そこでご紹介するのがパピーウォーカーというボランティアです。

パピーウォーカーってなに?

パピーウォーカーとは、盲導犬候補の子犬を10か月の間、家族の一員として育ててくれるボランティアの人たちのことです。
盲導犬のタマゴにとって、この時期に人間社会の馴染むことはとても重要なことです。人間と生活する喜びやルールを知り、将来、目の不自由な方と暮らすときに困らないようにすることが狙いです。

パピーウォーカーになる条件はいくつかあります。
まずは、盲導犬訓練センターの近郊に住んでおり、移動手段として車を持っていること、月1回に各訓練センターで開催されるレクチャーに参加できること、室内飼育ができること、特に居間に室内犬舎(59cm×90cm×67cm)を置けることなどです

また、子犬の世話につきっきりになれるためにも留守にする時間が少ないこと、子犬のしつけに対して、家族全員で参加できること、現在犬を飼っていないこと、そして、環境的にも費用的にも犬を飼える条件が整っていることなどもあげられます。

パピーウォーカーは何をすればいいのか

パピーウォーカーは子犬に愛情を注ぐ役割を担っています。
これから先、盲導犬になるために社会性を身につけなくてはなりません。そのために、人間と暮らす喜びや楽しみを知り、人間のことを好きになってもらうためにパピーウォーカーは存在します。

子犬にはさまざまな経験をさせてあげることが大事です。雨の日の散歩や夏の日の海、雪の日の散歩や花火大会など、人間社会で起こることを子犬のうちにたくさん経験させる必要があります。

また、パピーウォーカーには守らねばならないしつけの決まりが存在します。
たとえば、人間の食べ物を与えないこと、トイレは決まった場所で掛け声で排泄できるようにすること、ソファーや車のシートに乗らないようにすること、他犬とあまり関わりをもたせないことです。
どれも将来盲導犬になる上でとても重要なことなのです。

幸せに過ごして10か月後、涙のお別れが訪れる

パピーウォーカーのもとで10か月間、犬たちは幸せな思い出を残して巣立っていきます。
犬は楽しかった子犬時代の恩を一生忘れないといわれています。

団体の規則によっては、パピーウォーカーは再会すると犬を混乱させてしまう可能性があるので、育てた犬と二度と会えないことも多いようです。
巣立った犬たちのなかで、盲導犬に向かなかった(キャリアチェンジ犬といいます)場合は里親に引き取られて一般家庭の飼い犬になりますが、この際も育ての親のパピーウォーカーの元へは戻れないようです。

盲導犬になった場合も、10歳を過ぎれば引退してリタイア犬となりますが、この場合は育ての親であるパピーウォーカーの元で余生を過ごすのが理想的と言われています。
10年も経っているのに覚えているのだろうかと心配になりますが、大抵の犬たちは育ての親をしっかりと覚えており、感動の再会を果たすようです。

パピーウォーカーは盲導犬の心の支え

数か月前まで盲導犬としてしっかりと暮らしていた犬も、引退後にパピーウォーカーと再会を果たすと子犬の頃のように無邪気さを取り戻します。このように、パピーウォーカーは盲導犬にとってとても大きな存在です。興味のある人はぜひ、パピーウォーカーについて調べてみてくださいね。