犬の高齢化

超高齢社会である日本では、認知症によるさまざまな事故がたびたび報道されています。高齢になると必ず認知症になるわけではありませんが、犬の世界でも長寿になるにつれて認知症の例が増えてきたと言われています。
犬の認知症について、あなたはどのくらいご存知でしょうか。

犬の認知症

犬の認知症の正式名称は、「認知障害症候群(CDS)」です。犬も老化にともなって脳が衰え、認知力や反応性が低下し、学習記憶能力が衰えてしまい、発症します。
認知症になった犬は、一日中ぼーっとしていたり、飼い主のことが分からなくなってしまったり、感情のコントロールが難しくなってしまいます
その他にも、同じ場所でグルグルと回り続ける、甘えん坊になる、夜鳴きをする、トイレの失敗が多くなる、攻撃的になる、フラフラと歩くようになる、徘徊するといった症状があり、飼い主が気づくサインとなっています。

認知症はいまだ解明されていないことも多くありますが、その原因に関しては「不安」が大きくかかわっているとされています。
今まで出来ていたことが出来なくなっていく不安が大きくなっていくにつれ、犬の認知力にも悪影響が出るそうです。

認知症の予防

認知症の予防としてあげられる対策はさまざまなものがあります。
まずは、散歩に刺激をプラスすることです。
毎回、同じルートに排泄だけという単調な散歩ではなく、ときどきルートを変えてみたり、犬に体力があるときは遠出をしてみるのもいいかもしれません。

つぎに、普段からスキンシップを心がけることです。
犬によく話しかけ、体を触ってあげるなど、コミュニケーションを十分にとることで脳の活性化につながります。
また、他の犬の友達をつくっておくことも大事です。犬同士のコミュニケーションも、脳の活性化にいい影響がでます。

知育玩具と呼ばれるおもちゃを日頃から愛犬に与えるのも効果的ですし、魚類に含まれるDHAやEPA、ビタミンCとEなどの栄養素で健康維持をはかることも大事なことです。
脳は若返るといわれていますので、あきらめずに予防対策を実践してみましょう。

認知症とうまく付き合うために

もしも、愛犬が認知症になったとしても、これまでのように愛情を注いであげてください。
認知症は治る病気ではありませんが、進行を遅らせたり、症状を少し改善させることはできます。それに、寿命に直接関係のある病気ではありません。

問題行動が増えたり面倒をみきれないといって、安楽死を選択したり、愛護センターに連れていくようなことにならないために、頑張り過ぎないで上手く付き合うのが大事です。家族と協力できるなら、みんなで支え合って世話をしましょう。
自分の周囲の人間が認知症になった場合を想定して、どうか優しい気持ちで接してあげてください。

愛犬と向き合いましょう

犬は喋ることが出来ません。そのため、飼い主は行動や表情、反応といったわずかなサインで愛犬の状態を見抜く必要があります。認知症になった場合、愛犬は自分のことを忘れてしまうかもしれません。それでも、どうか元気だったころと変わらずに最期までしっかりと向き合ってあげてくださいね。