ピンと立ち上がった大きな耳と、どことなく高貴な雰囲気が特徴のパピヨン。
日本でも飼い犬の定番として人気の高い犬種です。
なじみがあるだけに、パピヨンについて詳しいことは意外と知らないのではないでしょうか?
今回は、パピヨンについて詳しくご紹介します。

パピヨンは貴族の象徴だった?パピヨンのこれまでの歴史について

耳が大きく左右に広がっていて、蝶の羽根のように見えることからついた「パピヨン」という名前はフランス語で「蝶」を意味する「papillone」がその語源です。
パピヨンの祖先はスペイン原産の小型のスパニエル種だと言われています。
その犬がヨーロッパに渡り、16世紀、貴族に大変愛され、可愛がられた結果、現在見られるようなパピヨンになったのです。

パピヨンが貴族に気に入られた理由はいくつか考えられます。
当時ヨーロッパの貴族はお風呂に入る週間をもたなかったため、ノミやダニの被害に貴族たちは悩まされていました。
そうした虫害対策としてパピヨンのような小型犬を飼ったという説もあります。

その一方で、豪華なドレスや美しいアクセサリーと同じように、愛らしい小型犬を飼うことが一種のファッションになっていたという説も。
実は、パピヨンの名付け親はかの有名なマリー・アントワネットです。
豪奢をきわめた生活の果てに、断頭台の露と散った「悲劇の女王」マリー・アントワネットはある意味ではフランス貴族を象徴する存在です。

その彼女が愛した犬であったために、フランス革命の後、パピヨンは貴族を憎む民衆から迫害され、一時期は絶滅の危機にまで追い込まれたこともありました。
けれどもちろん、それは過去の話。
現在ではパピヨンはつらい時代を乗り越え、多くの人に愛されています。

パピヨンは賢いが故にしつけが少し大変かも?

自分自身貴族のようにエレガントな容姿が魅力のパピヨン。
見た目に美しいだけでなく、とても賢い犬でもあります。
300種類以上の犬の知能レベルをランク分けしたあるテストによれば、なんとパピヨンは堂々の第8位にランクインしたそうです!
人に飼われてきた歴史が長いため、その性格は好奇心旺盛で社交的

特に飼い主に対しては深い愛情と忠誠心を示してくれるでしょう。
一般的に怖がりで臆病な子が多いと言われる小型犬ですが、賢くて上品なパピヨンは人間に対してとてもフレンドリーな犬種だと言えますね。
そんなパピヨンですが、賢いが故に注意するべき点も。
パピヨンは自己主張の強い面を持っているため、飼い主さんがきちんとしつけをしないとワガママな子に育ってしまうかもしれません。

そしてまた、人間の気持ちや状況を汲み取る能力に優れているからこそ飼い主さんがイライラしているとそれが伝染し、心のバランスを崩してしまうなんてことも。
利口なパピヨンの気持ちを尊重しつつ、甘やかさない愛情を注ぐことが上手なしつけのポイントかもしれませんね。

パピヨンを長生きさせる秘訣

パピヨンを飼う際のしつけの注意点は、実は長生きさせるための秘訣でもあります。
賢く繊細なパピヨンだからこそ、理不尽に叱りつけたり、手をあげたりするようなことをすれば大きなストレスを感じてしまいます。

また、十分に構ってもらえず留守番ばかりさせられることもパピヨンにとっては精神的負担です。
そういった状態が長く続くと、犬のうつ病になってしまうかもしれません。
肉体的には、華奢な体つきの割に実は丈夫なのが特徴ですが、他の小型犬と同じく膝の関節が弱い点には気をつけましょう。

高い段差をジャンプしたり、フローリングの床で滑ったりすると膝のお皿の骨にダメージが生じ脱臼してしまうケースがあります。
状態がひどい場合には歩けなくなってしまう場合も。
年を取るほど怪我のリスクは高まる傾向にありますので、飼い主さんは行動に注意をしてあげてください。

また、体が小さいために暑さや寒さに対してはあまり耐性がありません。
夏場はクーラーを、冬場は暖房を効かせるなど対策を怠らないようにする必要があります。
頭が良く、活発で、愛らしいパピヨン。
我が家の一員にお迎えする時には、その特徴をよく知って、犬も人間も幸せになれたらいいですね。