つらい時や悲しい時、愛犬があなたのジッと見つめて、まるで慰めてくれているように感じたことはありませんか?
反対に、あなたが嬉しい時、愛犬も一緒に喜んでいるように見えたことは?
実はそれは、単なる思い込みではないかもしれません。
最近の研究結果によって、犬は人間の「顔」を識別するだけでなく喜怒哀楽といった「表情」までも認識できることが分かってきたんです!

【人間の表情識別実験】実証されている犬達の素晴らしき能力!

犬が人間よりもはるかに優れた嗅覚や聴覚の持ち主であることはよく知られていますよね。
そのため、たとえば犬が「飼い主」と「他人」を区別する際には、匂いや足音、声などを聞き分けたり嗅ぎ分けたりしているのだと考えられます。
しかし、フィンランドのヘルシンキ大学は犬の「視覚」にも注目して実験を行いました。
研究チームは、視線の行方を追う「アイトラッキング技術」を駆使して実験対象の犬が知っている人の顔や知らない人の顔、あるいは犬の顔などをスクリーンに映し、どういった反応が犬の視線上にあらわれるかをテストしたのです。

その結果、「飼い主の顔」が映された時には犬は写真の目の部分をじっと見る傾向にあり、反対に「他人の顔」が映された時には視線はあちこちに行く傾向にあることが分かりました。
つまり、犬は「人間の顔を見分ける能力」を持っていることが明らかになったのです。

顔そのものを区別することができるだけではありません。
オーストラリアで行われた最近の研究によって、犬は人間の「表情」をも理解することが証明されました。
実験の方法は次のようなものでした。

  • 24匹の色々な犬を二つのグループに分ける。
  • グループAには「人間の笑顔」を、グループBには「人間の怒った顔」を選ぶように課題を与える。
  • タッチスクリーンに「笑顔」と「怒った顔」をランダムに表示して実際に犬に選ばせる。

この実験の結果、「笑顔」を選ぶように指示されたグループの犬も、「怒った顔」を選ぶように指示されたグループの犬も、正確に表情を選ぶことが分かりました。
特筆すべき点は、この実験では飼い主などの身近な人だけではなく犬がまったく知らない人の「笑顔」や「怒った顔」も使ってテストを行ったことです。
これにより、犬は人間の表情を基本的に理解しているということがハッキリしたのです。

面白いことに、犬は「笑顔」の選択はスムーズに行うのに対して、「怒った顔」を選ばなければいけない時にはタッチスクリーンに近づくことにためらいを見せたそうです。
そう、犬は「怒った顔」よりは「笑顔」を好むということです。
彼らはまさに私たち人間と同じように「表情」をよく理解しているのですね。

特に表情を読み取る能力が得意とされる犬種は?

オーストラリアの実験からは他にも興味深い事実が明らかになりました。
実験に参加した様々な犬種の中でも、特にジャーマンシェパードやボーダーコリーが高い正解率を示したことです。
したがってこれらの犬種は人間の表情を読み取り、理解する能力に秀でていると言えます。

犬の脳のメカニズムについてはまだ未解明の点が多いため、なぜこの犬種が特に高い能力を示すのかは正確には分かっていません。
しかし、「ジャーマンシェパード=ドイツの牧羊犬」という名前の通り、シェパードもコリーも牧羊犬として人間と共に歴史を歩んできた犬種。
私たち人間のそばで長い時間を一緒に過ごしてきた彼らだからこそ飼い主の表情を理解し、気持ちに寄り添うことが他の犬よりも得意なのかもしれませんね。

表情だけでなく声まで!?未だ知られざる人間と犬の深い絆のヒミツ

このように犬は人間の顔を区別し、喜怒哀楽の表情までも理解しています。
その上、アメリカのサセックス大学が発表した研究レポートによれば、なんと犬たちは人間の「声」のイントネーションや強弱からも「感情」を読み取るのだそうです。
大昔の石器時代から人間の良きパートナーとして傍に居続けてくれる犬たち。
犬と私たち人間との深い絆には、まだ沢山の興味深い謎が隠されているのです。