ペットショップで子犬を買うとき、その子犬の母親のことについて思いを巡らせたことはありませんか?どの子犬にも、当然母犬が存在します。しかし、幼い内に子犬は母犬から引き離されるのです。
ここでは、犬の親子や兄弟の家族の絆について考えてみましょう。
犬にも人間と同じように家族の絆があるのでしょうか?
人間のように、犬の親子や兄弟にも家族の絆があるのでしょうか?実は、人間以外のほとんどの動物が、子育てを終了すれば互いを他者だと認識するそうです。
おそらく、それは犬も同じなのではないでしょうか?特に犬の場合、母親は頑張って子育てしますが、父親は子育てに一切関与しません。
犬の世界は、一夫多妻制なのが普通であり、オス犬は発情期になれば複数のメス犬と後尾してしまいます。しかも、オス犬は自分が子供を生むわけではないので、子犬が産まれても自分の子供であるとは認識しにくいのです。
もちろん、子犬の方も父犬が誰であるかはまったく分かりません。そのため、母犬と比較すれば、父犬と子犬の絆はとても薄いといえます。
同じ屋根の下で一緒に暮らしている親子であっても、父犬の場合は子犬に対して愛情らしきものを示すことはほとんどないのです。
犬の血縁関係に対する行動と心理は人間とは異なる
母犬が子犬を育てるのは、子犬の可愛らしさによって母性本能が刺激されるからであるといわれています。人間の赤ちゃんでもそうなのですが、子犬は頭が大きい3頭身の体つきをしており、その姿が母犬の母性本能を刺激するのです。
犬の母性本能は、相手が人間の赤ちゃんであっても刺激されます。そのため、人間の赤ちゃんに対して、メス犬が優しく面倒を見るような行動を起こすことは珍しくありません。
相手が犬ですから、人間のお母さんが赤ちゃんを託すことはできませんが、たった一人で育児をしている場合はその姿に癒やされることもあります。
実は、野生であった頃の犬は群れを作って暮らしていました。その時代には、交尾をして出産するのは、もっとも上位にあるメス犬だけでした。
他のメス犬は、出産した上位のメス犬が子犬に授乳する時期には、代わりにエサを探してきたりして子育ての手伝いをしていたようです。つまり、群れ全体で子犬を育てる体制ができていました。
その頃は、人間の母親と同じように、母犬だけで子犬の世話をすることはなかったのです。常に、仲間たちが助けてくれていたのですから。
もちろん、母犬は強い母性本能で自分の子供を育てますが、子育てが終わればその母性本能は冷めてしまう場合が多いのです。人間のように、いつまでも自分の子供として可愛がる習性はないといえるでしょう。
まとめ
現代の日本のペット業界には、多くの問題点があります。たとえば、悪質なブリーダーやペットショップにお金儲けの道具と考えられている面があります。
ビジネスのために必要以上に犬の繁殖が行われているのも事実であり、生まれた子犬は早めに母犬から引き離されることが多いのです。その後、まだ幼い内にペットショップのガラスケースの中に入れられ、販売されます。
実は、子犬が高い金額で売れるのは、大体生後60日までの期間です。その後は、次第に値下がりする傾向にあります。
だからこそ、子犬を繁殖して売ることを仕事にしているブリーダーたちは、なるべく早めに母犬から引き離し、ペットショップに販売しようとします。もし、子犬にも人間の子供のように母親を恋しがる性質があれば、これはとてもつらいことでしょう。
人間の場合、子供が両親や兄弟と引き離されれば、大きなストレスになります。愛する家族と一緒に暮らせないのは、身を引き裂かれるようにつらいことです。
それを考えれば、ペット化した犬たちに家族の絆があまりないことは、不幸中の幸いかもしれません。子犬はずっと母犬のことを覚えているわけではなく、一時はつらい思いをしてもすぐに忘れます。
そして、可愛がってくれる飼い主の方になついていくのです。