飼い犬は死んだ飼い主を食べる

例えば野生のクマやライオンが人を襲って食べたという話を聞いても、怖いけれど肉食動物である動物だとそういう事もあるだろう納得する事は出来るでしょう。
では犬が人を食べたと聞くと、そんな事ってありえるの?と驚いてしまいますよね。
確かに犬の先祖はオオカミなので、肉食動物として現在も主食は動物性タンパク質を好みます。

ですがそれはあくまでもドッグフードの主原料が動物性タンパク質なだけで、犬が肉をガツガツと食べるイメージはありません。
では実際に犬が飼い主を食べるという事がありえるのでしょうか?

「飼い犬は死んだ飼い主を食べる」というのは本当か

まずあらかじめ言っておきたい事は、飼い犬が飼い主を食べるという現象が頻繁に起きている訳ではありません。

そして、飼い犬が生きている飼い主を襲い、殺して食べるという事件自体は起きていません。

ですが飼い主が病気や自殺で死んでしまった場合に、その死体を飼い犬が食べるという事件は世界的にみると、この20年間の間で数十件報告されています。

世界的に20年間で数十件という数を、多いと考えるか少ないと考えるかは難しいところですが、そもそも人間を食べる動物は非常に少ない事を考慮すると実は犬が1番人間を食べる動物だと言えます。

世界各地で起こっている実例

ドイツで31歳の男性が銃で自殺し、飼い犬(犬種はシェパード)が飼い主の顔と首を食べてしまった事例
女性が病気で浴室で亡くなり、飼い犬(犬種は不明)に顔を食べられてしまった事例。
この時飼い犬の他に、飼い猫も2匹いたが、飼い猫は人を食べていなかった。
飼い主が突然亡くなり、発見まで1ヶ月かかってしまった。
その間2匹の飼い犬(犬種はチャウチャウとラブラドール)は、1ヶ月間飼い主を食べて生き延びた事例。
日本でも薬物中毒で死んだ飼い主の顔面を飼い犬2匹が食べてしまい、一時は猟奇殺人事件ではないかと騒がれた事例があります。
カナダでは、病死した飼い主を飼い犬(パグ)に食べられた事例があり、発見は死後数日が経過していました。

ちなみに..。飼い主を食べるペットは犬だけではない

ちなみに、事例では飼い犬だけ飼い主を食べて、飼い猫は飼い主を食べなかったと紹介しました。
ですが飼い猫も飼い犬と同様に、肉食動物であり、飼い主を食べたという事例はいくつか報告されています。

他にもハムスターが飼い主を食べたという報告もされています。

飼い犬が死んだ飼い主を食べる、本当の理由とは

事例の中には、飼い主が亡くなってしまい、餌を与えてくれる人がいなくなったために、空腹を満たすために飼い主を食べてしまうケースもあります。

確かに食べるという行為は生き延びるために必要な行為で、人間でも空腹で人肉を食べてしまった事件は世界的に見ると決して珍しい事ではありません。
非難する人もいるかもしれませんが、空腹で飢餓状態に陥って、人肉を食べてしまうケースは理由としては理解出来ます。

しかし飼い犬が飼い主を食べたケースの全てが、空腹が理由とは言えません。
どういう事かというと、「飼い主が亡くなって24時間以内に25%近くの飼い犬が飼い主を食べてしまっている」からです。

1日程度であれば、水分さえ摂取すれば、空腹を我慢する事は出来るはずです。
しかも中には普段与えているドッグフードが部屋にあったのに、ドッグフードを食べずに飼い主を食べてしまった飼い犬もいます。

では空腹以外の理由で、飼い犬が飼い主を食べる理由は何なんでしょうか..?

まず食べる部位に注目すると、ペットとして飼われた犬の多くは飼い主の顔を食べています。本来野生動物であれば、顔よりも栄養が多くて柔らかいお腹などの部位を食べるはずです。

飼い犬の場合は、飼い主の顔を食べてしまうのは、最初は食べるつもりはなかったのです。
飼い主が倒れて意識を失ってしまった状態で、飼い犬は飼い主を起こそうと、何度も顔を舐めます。
ですが死んでしまった飼い主が起きる事はありません。

飼い犬は飼い主が起きない事にパニック状態になり、舐めていた顔を噛んでしまいます。
そしてこの噛むという行為が、肉食動物の本能を刺激して、食べるという行為に発展してしまうため、飼い主の顔を食べる率が圧倒的に高いのです。

飼い主を食べる行動は犬種によっても違いがあるのか?

ではどんな犬種でも、非常事態に陥った時に、飼い主を食べてしまうのでしょうか?
事例では、様々な犬種が飼い主を食べています。
決して、気性が激しい犬種だけが飼い主を食べる訳ではなく、ペットとして人気のラブラドールやゴールデンレトリバーも食べていますし、大型犬だけではなく、小型犬のチワワやビーグルも食べています。

そのためあまり犬種には関係していないと言えるでしょう。
ただし「飼い主と離れる事に不安を感じる臆病な犬」ほど、パニック状態に陥って飼い主を食べてしまう確率が高くなる傾向があるようです。

飼い犬に食べられてしまわないための対策は?

飼い主が飼い犬に食べられてしまうという話を聞くとショッキングですが、食べてしまう理由を知ると、今度は悲しい事件だと思ってしまいますよね。
もちろん、遺体を発見した家族にとっても、家族が可愛がっていた飼い犬に食べられてしまうという事態は極力避けたい事です。

ではどうすれば予防をする事が出来るでしょうか?
特に一人暮らしで愛犬と暮らしている人は、自分が突然亡くなった後の事態に備える事も飼い主としての役目だと言えます。

まず、遠くに離れて暮らしている家族や友達と小まめに連絡を取り合うようにしましょう。
無精な人でも、最近はアプリによって、ポットなどの電化製品を使用したら元気で暮らしている証拠で、全く使用されなくなったら異変が起きていて連絡が入る。
そんなシステムを利用する事が可能です。

そうすれば、連絡を受けて家に様子を見に来てもらう事が出来たら、緊急時に助かる命があるかもしれませんし、間に合わなくても愛犬が飼い主を食べるという事態は回避する事が出来ます。

また飼い犬は、ちゃんと保護されるので、飼い主が亡くなった後も生き続ける事が出来ます。
もし、飼い主を食べてしまったら、人を食べた犬というレッテルが貼られてしまうので、新しい飼い主を探す事は困難になってしまいます。

まとめ

飼い犬が飼い主を食べてしまうと聞くと、猟奇的なおぞましい事件のように思う人もいるかもしれません。
しかし飼い犬にとって飼い主とは、大事な家族であり、生きている時には良好な関係を築いています。
もちろん、生きている時に飼い犬が飼い主を襲い、殺して飼い主を食べるなんて事例は1件も報告されていません。

全ては病死や自殺による突然の死で、飼い犬もなぜ飼い主が動かなくなってしまったのか分からずにパニック状態に陥ってしまいます。
そしてパニック状態の中で、肉食動物としての本能で飼い主を食べてしまう事は、飼い犬にとってもとても不幸な事だと言えるでしょう。

このような不幸な事件が起きないために、孤独死で亡くなる事態は避けて、連絡を小まめにとり、異変があれば誰か家に様子を見にくれるような環境を整える事が大切です。