目には喜びや悲しみなど様々な感情があらわれます。
犬の目もそれは同じこと、言葉を話すことができないだけにアイコンタクトは犬と人間の大切なコミニュケーション手段ですよね。
でも、愛犬の目を見つめたら顔を逸らされてしまった経験はありませんか?
他にも、愛犬の視線を感じて見返したら、視線を外されてしまったなんてことは?
愛犬があなたから目を逸らす、それにはこんな理由があったんです。

犬が飼い主と見つめ合うのが苦手な理由

映画などで恋人同士がじっと見つめ合うシーンをよく見かけます。
人間同士の場合は、見つめ合うのは互いに敵意のない証拠、好意のあらわれです。
そのイメージがあるために、愛犬が目をそらすことで「もしかして嫌われているから?」と心配になってしまう飼い主さんもいるのではないでしょうか。

ところが、実はその反対なんです!
もともと犬にとって、目をじっと合わせることはケンカの合図。
そこで遠い昔群れを作って暮らしていた時代、不要な争いを避けるために犬は自分より立場が上の相手とは目を合わせないことを覚えたのです。
つまり、飼い犬が目をそらすのは、飼い主さんの方が自分より上の存在だと理解している時です。

犬と人間にとってベストなのは「同等」な関係ではなく「主従」の関係です。
上下があるからこそ、犬はあなたの指示に従ってくれますし、しつけもできるのです。
愛犬が目を合わせてくれないのは、愛犬と理想的な関係を築けていることの証拠かもしれませんね。

他にも、「困っている時」や「苦手なものに対面した時」に犬が目をそらすことがあります。

代表的なものとしては、カメラです。
いつもなら名前を呼べばすぐに見返してくれるのに、カメラを向けた途端すっと目をそらす子がいるそうです。
写真を撮られることを苦手に感じていたり、あるいはカメラそのものが少し怖いのですね。
でも、大げさに逃げ出したり、吠えたりすれば飼い主さんを悲しませ、困らせることになるかも……
その葛藤が「目を逸らす」という行動につながるようです。
逆に考えれば、その子は「要求鳴き」や突発的な行動をしないようきちんとしつけができているということです。

また、自分の興奮をしずめるために目をそらす場合があることも知っておきましょう。
たとえば、大好きな飼い主さんが外出から帰って来た時です。
そんな時、なぜか目は合わせないで下を見ている愛犬の姿を目にしたことはないでしょうか。

これは、帰宅を喜んでくれていないわけでも、恥ずかしがっているわけでもないのです。その証拠に、シッポを見ればきっとブンブンと振り切れそうなほど振られているはず。
実は犬にとって、目を逸らすのは「カーミングシグナル」、つまり落ち着くための行動の一つでもあります。
そう、嬉しくてたまらないからこそ、興奮しすぎて飛び掛かったりしないように犬は自分を抑えているのです。
こういう行動をとる子は、自分で考える力のある賢い犬だと言えるでしょう。

キライだから目を合わせない、というわけではないんです

このように、犬が目をそらすのはネガティブな意味を行動ではありません。
飼い主との良好な関係や、しつけがきちんとできていること、あるいはその子自身の賢さの証なのです。
確かに、愛犬にぷいっと目をそらされてしまったら、ちょっぴり寂しい気持ちがするのは人情というもの。
しかし、人間とは違う犬の性質や行動の仕方を理解することで、犬たちはキライだから目を合わせないのではないことが分かっていただけたかと思います。

犬が目を合わせないのは、あなたを頼もしいパートナーだと認識し、大好きだと思っているからこそのこと。
今度からは犬が目をそらすたびに、ますます愛犬のことを愛おしく思うようになれるのではないでしょうか。
ちなみに、犬を撫でる時などには直接目を合わせず、後頭部当たりを目を細めて見るようにしてあげてください。
愛犬はきっと、安心してあなたの視線を感じてくれますよ。