唾液は犬の健康にとってなくてはならないものです。犬の唾液にはさまざまな役割があり、健康をサポートしています。けれども一方で人間にとってはあまり清潔なものではないという面もあります。また唾液の異常は体からの何らかのサインであることが考えられます。
犬の唾液の成分や菌、機能について解説!
犬の唾液にはさまざまな働きがあります。人間の唾液と同様、実はとても重要な働きをしていて、犬の健康には欠かせません。一方で寄生虫や病原菌などがたくさん含まれているということも忘れてはいけません。
一般的に犬は虫歯になりにくいとされています。口の中が酸性に近づくと、歯のエナメル質を溶かして虫歯が起こりやすくなってしまいます。犬はアルカリ性の唾液を分泌することで、口の中が酸性になるのを防いでいます。その結果虫歯になりにくいのです。
ただしアルカリ性の唾液は石灰化しやすいという特徴があります。歯垢がたまりやすくなるので歯肉炎や歯周病などのケアはしっかりと行うようにしてあげましょう。
人間の唾液と異なり、犬の唾液には消化酵素が含まれていません。犬は口の中で消化をすることがなく、食べたものはすぐに胃に持っていこうとします。唾液は食べ物が胃に運ばれやすくするための潤滑油の働きをしています。
体温や水分量の調節にも、唾液は欠かせません。犬は人間のように汗をかきません。水分は蒸発するときに周りの熱も奪っていきます。犬は唾液を分泌させ、蒸発させることで体温を調節しようとしています。
犬の唾液が多い時は、リラックスしている時なのかもしれません。犬は副交感神経が強まり、リラックスしている時に唾液の分泌が多くなることが確認され知恵ます。
ただし、犬にとってなくてはならない唾液ですが、人間には害を及ぼすことがあります。犬の唾液によってアレルギーを引き起こしてしまうという人は少なくありません。また病原菌や寄生虫を多く含んでいるため、それらに感染してしまう恐れもあります。
飼い主として犬に舐められるのは嬉しいことかもしれませんが、病気に感染したり、アレルギーを発症するのを防ぐためにも、あまり舐められないように注意したほうがよさそうです。
犬の唾液腺の病気「唾液腺腫瘍」「唾液腺嚢腫」とは?
唾液腺が病気になってしまうこともあります。唾液腺腫瘍とは唾液腺で細胞が増殖し、塊ができてしまう症状です。一方唾液腺嚢腫は唾液腺の細胞以外の成分を細胞成分が包み込んでしまい、袋状に腫れ上がってしまう症状のことを指します。
どちらも犬にとっては重大な病気です。異変に気がついたらすぐに病院に連れていくようにしましょう。
原因はケガ、唾石、遺伝などがあるとされていますが、多くの場合原因不明です。治療のためには外科手術や投薬などが行われます。また犬の首に負担をかけないようにすることも重要です。
「不自然なよだれの出方」は病気のサインかもしれません
犬のよだれが不自然である場合はすぐに対処してあげるようにしましょう。唾液の不自然は緊急を要します。愛犬が命の危険に陥ってしまう可能性もあるため、早めに気づいて病院などに連れていきましょう。
特に以下の症状が同時に起こっている場合には要注意です。
- 嘔吐、あるいは吐きそうだが吐けない
- 呼びかけても反応しない
- ぐったりとしている
- 唾液に血や泡が混じっている
- 口臭や唾液に臭いがある
- 腹部が腫れている
- 発作を起こしている
これらの症状を併せて引き起こしている場合は危険です。
また唾液の異常から考えられる病気は熱中症、胃捻転・胃拡張、誤って異物を飲み混んでしまった、中毒、臓器の異常などが挙げられます。急性であることが多く、少しでも対処が遅れると命が危険になる場合も少なくありません。唾液の異常にはなるべく早く気づくようにしましょう。
犬の健康にとって唾液はなくてはならないものです。不自然な唾液に気づいたら早めに対処してあげるようにしましょう。