愛犬のてんかん発作を目の当たりにした場合、ほとんどの飼い主さんはパニックになってしまうと思います。てんかんになってしまうと、ワクチンの接種が出来ないなどの様々な問題も生じ、困ります。それに、もしも外出中にてんかん発作が起きてしまったら、愛犬は大丈夫なのか心配になりますよね。
ここでは、そんな犬のてんかんについて解説します。

犬のてんかんの症状と原因について

てんかんとは慢性的な脳の病気です。脳内の神経回路が異常に興奮してしまう事で、突発的な発作が起きます。軽い症状から重い症状まであげると、以下のようになります。

  • 足や全身、顔面などの痙攣
  • 体の一部分が痙攣
  • 四肢の硬直
  • 目を見開く、瞳孔の拡大
  • 過呼吸(チアノーゼになりやすい)
  • 咀嚼運動
  • 口から泡を吹く
  • 失神
  • 失禁
  • 脱糞

症状には個体差がありますが、数分後には何事もなかったように症状が治まってしまうのがほとんどです。(重積発作が起こるケースもあります)

てんかん発作は、脳内のシグナルのやり取りが何らかの形で阻害されているために現れる症状です。
その原因として、交通事故やウイルス感染、脳腫瘍によって脳細胞が破壊された他、ストレスによる症状などのケースがありますが、犬の場合、ほとんどは原因が分からず、血縁関係の病歴などから遺伝によるものと考えられているようです。

実際のてんかん発作の映像です。ご参考までにどうぞ▼
(少し刺激が強いかもしれないのでご視聴の際にはご注意ください)

犬のてんかんの治療法は?てんかんは完治する病気?それとも?

てんかんの治療には抗てんかん薬が使用されます。
抗てんかん薬には、さまざまな種類が存在しており、副作用も考えられるため、どの薬がワンちゃんの体に合っているか慎重に様子を見ながら判断することになります。
そのため、長期治療が必要となり、定期的な血液検査も行います。

しかし、この投薬治療はてんかん発作を防止するために行われるものです。てんかんそのものの原因は脳内の損傷などによるものなので、完治はしないとされています。

それでも、てんかん発作を繰り返すようになると、入院しなくてはならないケースもあり、医療費もそれだけかかってしまいます。
重篤なてんかん発作は愛犬の年齢や健康状態によっては命にかかわることもあるので、たとえ完治しなくとも、てんかん発作を防止するための治療は欠かせないのです。

犬のてんかんの前兆

てんかん発作を急に目の当たりにすると、焦って愛犬の様子を見守ることが出来ませんよね。しかし、あらかじめ、前兆となるものを知っていると少しは対処も出来るかもしれません。
犬がてんかん発作を起こすとき、その前兆として現れやすいのは以下の様なものがあげられます。

  • ボーっとしている
  • ぐるぐる歩き回っている
  • そわそわしている
  • よだれが出ている
  • 嘔吐した

てんかんの持病がある場合、これらの初期症状が確認されると発作が起こる可能性が高まります。発作を食い止めることは難しいかもしれませんが、落ち着いて対処できるように愛犬の様子をよく見守りましょう。
発作が起こってしまった場合は、「意識はあるか、何分くらい続いたか、どのような症状が出たか、発作を起こす前と後で愛犬の様子に違いがあるか」といった点をよくチェックして、獣医さんに伝えるようにしましょう。

てんかんと寿命の関係性

てんかんの持病は愛犬の寿命にどのような影響をもたらすのか飼い主としてはとても心配になりますよね。長期に渡るてんかんの治療で健康への悪影響はないのか、ということを気にする方もいるかもしれません。
イギリス王立獣医大学が中心となった研究チームによれば、てんかんの持病のあるワンちゃんは、他のワンちゃんに比べて安楽死となる年齢が極端に短いという報告があります。

また、安楽死となる前に、群発発作により脳へのダメージが蓄積され、脳腫瘍や脳浮腫などで引き起こされる脳ヘルニアなどで死に至ることもあるようです。
ここで大事だと分かってくるのは、てんかんの発作をいかに抑制するかということです。愛犬にいつまでも元気で過ごしてもらいたいならば、とくにてんかん発作を抑える治療は欠かせないということになります。

てんかんは完治しないけれど発作を抑える治療法はある

てんかんは脳のトラブルによって発作が引き起こされる病気です。完治はしませんが、愛犬の身体に合った抗てんかん薬を使って治療することで発作を抑制することで安静に過ごすことができます。その様子を正確に獣医に伝えるためにも、愛犬がてんかん発作を起こした際は落ち着いてその様子を確認しましょう。