内部寄生虫

内部寄生虫とは、その名の通り体の内部に住み着く寄生虫のことです。内部寄生虫が悪さをすれば、犬の健康が損なわれ、時には命にもかかわります
また、犬だけではなく人にも寄生するものもいるので、とても厄介です。
ここでは、そんな内部寄生虫について紹介します。

回虫

回虫は哺乳類の小腸に寄生する白いミミズのように細長い寄生虫です。抵抗力が非常に強いため、土や砂の中で長時間生き続けながら動物に寄生する機会をうかがっています。
感染しても症状が出ないことも多いようですが、子犬に多数の回虫が寄生すると、お腹が異様に膨れ、元気がなくなる、発育不良になる、便秘や下痢、嘔吐、普段は食べないモノを食べてしまう異嗜(いし)という症状が現れます。

人にも感染することがあり、とくに犬に口を舐められるといった経口感染が考えられます。
その際にあらわれる症状は、回虫が迷い込んだ部位によって異なります。

鉤虫

鉤虫は体長1~2cmほどの吸血性のある寄生虫です。子犬にはごく一般的な腸内寄生虫で、貧血や下痢などの症状を引き起こします。重症例では肺炎の原因となる場合があり、死亡する危険もあります。

鉤虫の卵は便と一緒に排出され、土の中で成長し、皮膚(肉球など)を介して犬の身体に寄生します。また、経口感染もします。
まれに人にも感染することがありますが、症状は軽いそうです。

鞭虫

鞭虫はオス40~50mm、メス50~70mmほどのグラタン皿のような形をした吸血性寄生虫です。犬の大腸、とくに盲腸に寄生します。汚染された水や食品を摂取することで感染し、メスの産む卵は排便によって宿主の体外へと出ていきます。

軽度や中程度の感染だとほとんどが無症状ですが、重度の感染では大腸に障害をきたします。下痢や血便といった症状が現れ、貧血や栄養失調により体力が低下してしまいます。

瓜実条虫

サナダムシとも呼ばれる細長くて平らな体が特徴的な扁平動物です。
無症状なことも多いそうですが、多数の感染により下痢や体重減少を起こすこともあります。

腸管内で切り離された中体の一部(片節)が便と一緒に排泄されるのですが、その際、肛門がかゆくなるそうです。
人間にも感染し、ほとんどが無症状ですが、幼児の場合は下痢や腹痛が見られることもあります。

マンソン裂頭条虫

カエルやヘビ、鳥類を食べてしまうことで感染するサナダムシの仲間です。
きし麺のような形をしていて、成虫の体長は250cm、体幅1.2cmにもなります。

小腸に寄生すると、下痢や嘔吐、体重の減少のほか腸閉塞といった深刻な症状も現れます。人間に寄生する場合もあり、とくに脳に寄生してしまった場合、危険な状態に陥ることもあります。

多包条虫

エキノコックスと呼ばれる寄生虫です。
最終宿主である犬や猫が感染しても、まれに粘液上の軟便をしたり、下痢をする程度です。寄生して1か月ほどで卵を産み、1~4か月間卵を産み続けます。潜伏期間は5~15年とやや長く、病巣を完全に切除する以外に有効な治療法はありません。

人間に感染した場合、5~10年は無症状のままですが徐々に肝機能障害が進んでしまい、末期には肝不全状態となって全身に転移します。放置すれば高い確率で死亡してしまう恐ろしい感染症でもあります。
人に感染する場合は、犬を介することも多いので、流行地域では犬を放し飼いにしないように気を付けましょう。

寄生虫について知っておこう

外部寄生虫に比べて、内部寄生虫は普段目に見えないだけに意識をおこたりがちですかもしれません。しかし、知識を身につけているだけでも少しは違います。犬と自分の快適な生活のためにも、寄生虫の存在へ目を向けてみましょう。