避妊

メスの犬を飼っている場合、気になるのが生理に関する知識かもしれません。
犬は人間のように出血をともなう生理があります。女性の飼い主さんならばたいてい月経があるので、想像もつきやすいかもしれませんが、男性の飼い主さんですと人には聞きづらいこともあるでしょう。
そこで、ここでは犬の生理について簡単に紹介します。

メス犬のヒート(生理)について

犬の生理のことをヒートといいます。人間のように出血をともなっていますが、人間の場合とは様々な違いがあります。

人間の生理は、生殖可能な子宮が受精卵の着床のためにさまざまな準備を行ったものの受精しなかったという場合に、不要になった子宮内膜などが排出されますが、犬の生理は違い、子宮内膜の充血により起こります。
つまり、人間とは逆で生理による出血は妊娠しやすいというサインになっているのです。

ヒートが始まるのは生後8か月前後で、人間でいえばだいたい中学生くらいの年齢です。小型犬は早く、大型犬は遅いという傾向もあります。
周期はだいたい5~10か月程度の周期であり、小型犬ならば年に2~3回、大型犬ならば年に1~2回程が平均的と、比較的少ないようです。時期としては、春と秋が多いとされています。

犬の場合、生理痛はないそうですが、犬によっては、人間と同じように倦怠感や不快感を覚えたり、攻撃的になったり、元気がなくなったり、言う事をきかなくなったり、食欲不振に陥ったりするようです。
もしも愛犬にこのような症状が見られたら、準備をしておいた方がいいかもしれませんね。

オス犬の発情

オス犬には発情期というものはありません。発情はメス犬のヒートの匂いによって引き起こされるのです。
ヒートによってメス犬の尿にはフェロモンが含まれ、その匂いは約2キロ四方にまで広がります。このフェロモンは多くのオス犬にとって非常に魅力的なものなので、たとえ怪我を負っていても突然飛び出してメス犬のもとに駆け付けようとします。

犬たちにとって年の2回ほどしかない発情は非常に真剣なもので、本能的なものでもあるのですが、オス犬のなかには、2階から飛び降りたり、他のオス犬と喧嘩を始めたり、リードを引きちぎってしまったりと、尋常でない行動もあらわれることがあります。
あまりにもひどいときは去勢手術を考えた方がいいかもしれませんね。

避妊手術のメリット

飼い主がとくに子犬を望んでいない場合、避妊手術を考えることがあると思います。
もしかしたら、人によっては去勢や避妊の手術に抵抗がある人もいるかもしれませんが、メス犬にとっての避妊手術はメリットがあるのです。

まず、避妊手術では子宮と卵巣を取り除きますが、これによって乳腺腫瘍、子宮蓄膿症、子宮がん、卵巣がん、卵巣腫瘍といった病気を防げます
これらの病気は高齢になるほど発症率があがり、死に至る可能性も高いものです。手術費用がかかる上に、がんは転移していくものなので完治するとは限らず、高齢になるにつれて手術にも耐えられなくなっていくので、長生きしてほしいのならば若いうちに避妊手術を受けさせるべきでしょう。

次に、発情によって心身に受けるストレスや負担から解放されます。発情ではホルモンの乱れが起こりますし、子犬を望んでいない場合はとくに発情期のたびに欲求不満によるストレスがメス犬にのしかかります。

犬のヒートはだいたい寿命を終えるまで続いていくものですので、いつまでもこのストレスに悩まされるのはとても可哀想なことですよね。
ストレス起因の病気もたくさんあるので、長生きしてもらいたい場合はストレスフリーの方が望ましいでしょう。そのため、避妊手術によって性欲が減少することは、メス犬にとってもいいことと言えるのです。

避妊手術によって三大欲求が2つに絞られるため、太りやすくなるという傾向もあります。しかし、ここは飼い主の栄養管理によって解決できる話なので問題はありません。
ただし、手術というものはリスクをともなうものです。避妊手術も同様ですので、愛犬の避妊手術をお願いする際は信頼できる腕のいい獣医を選ぶようにしましょう。

犬を理解するために

メス犬のヒートの知識は、オス犬を飼っている場合にも重要な知識となります。子犬を望んでいない場合や、発情のたびに愛犬がストレスを感じていると気づいた場合は、ぜひとも避妊や去勢の手術を検討してください。