愛犬の下痢
言葉を喋ることのできないワンちゃんの体調の変化をしる方法の一つとして、ウンチの状態というものがあげられます。いつも健康的なウンチだと安心ですが、突然、下痢などの症状が現れることだってありますよね。たまたまお腹を壊しただけなのか、はたまた、重大な病気のサインなのか、飼い主としては悩むところです。
そこで、ここではワンちゃんの下痢についてご紹介します。

犬が下痢をするときの主な原因

下痢の原因として考えられることは一つや二つではありません。
人間もそうですが、ささいなことが引き金となって下痢の症状が引き起こされることはよくあります。食べ物が原因であるこもあれば、ストレス、季節の変わり目といった環境変化、冷え、そして寄生虫や伝染病などの病気なども考えられます。

このように、原因は多々ありますので、対策の仕方も原因によって様々です。
たとえば、冷えが原因ですとお腹を冷やさないように腹巻きをしたり、クーラーの効いた部屋では暑さ対策グッズを使用しないで普通のクッションを使うなどの対策が有効です。
また、ストレスが原因でしたら愛犬の状態や置かれている状況をよく観察し、何がきっかけでストレスをためてしまっているのかをチェックしなくてはなりません。場合によっては、ワンちゃんのしつけ教室や専門家に相談してみる必要もあるでしょう。

誤食や寄生虫、伝染病などが原因の場合は早めに病院で診てもらわなくてはなりません。
これらの原因は飼い主が気づかないうちに、起こっていることもあります。ワンちゃんは喋れないので、なかなか気づきづらいかもしれません。ですので、微かな異変も見逃さないように、便の状態やワンちゃんの様子をよくチェックしてみましょう。

危険性の高い下痢は5パターンあります!

病気や誤食が原因ですと、早めに病院に連れて行って治療してもらわねばなりません。そこで、気になるのが、下痢の状態の見分け方ですよね。病院で診てもらうべき下痢とは、どういった特徴があるのでしょうか。
ここでは5パターンの下痢を紹介します。

まず、1つ目は、真っ先に飼い主が心配しそうな血便です。ウンチのどこにどんな血が付着しているかによっても、考えられる病気は変わってきます。

ウンチの外側に鮮血がついている場合、肛門から近い場所で出血が起こっていると考えられますが、便が固すぎるために肛門付近が傷ついて出血した可能性もありますので、便の固さもカギとなってきます。便の状態もよく観察し、おかしいと思ったら病院に連れて行きましょう。
このような症状が出る場合に疑われる原因は、肛門嚢の炎症や腫瘍、大腸炎や寄生虫などがあります。

ウンチの内側にも鮮血が混ざっているという場合は、小腸や大腸で出血しているということになります。そのため、大腸炎や腸閉塞、腫瘍、寄生虫、ウイルス感染のほかに、誤飲や誤食による傷や炎症といったことが考えられます。
便が下痢であったり、臭いがきつい場合は要注意ですので病院で診てもらいましょう。

2つ目は、ウンチの色に変化がある場合です。
鮮血ではないけれど、黒っぽかったり、白かったりする場合もありますよね。正常なウンチの色は茶色ですので、いつもと違う色のウンチだとやはり心配になります。

まず、黒いウンチはどういう状態なのでしょうか。
実はこれも出血が考えられます。消化器官内に腫瘍や潰瘍がある可能性や、小腸に寄生虫がいる等といった原因が考えられますが、いずれの場合も早期発見と早期治療がカギとなりますので、すぐに病院で診てもらった方がいいでしょう。

では、白いウンチがみられた場合はどのような状態なのでしょうか。
ウンチの色が茶色になるのは、胆汁が消化器官内で腸内細菌の活動や酸化作用に影響されて茶色くなることが原因です。しかし、ウンチに色がついていないということは、何かしらの原因で胆汁が出ていないという可能性もあります。
肝外胆管閉塞などの重篤な病気のサインかもしれませんので、すぐに診てもらいましょう。

それ以外の要因として考えられるものには、細菌感染があります。
この場合は、発熱や下痢の症状も伴うため、脱水症状などの重症化も考えられますので注意が必要です。

3つ目は、ウンチに粘液が付着しているという場合です。伝染病にかかってしまうと、このようなウンチをすることがあります。
ほかにも、元気がない、発熱・嘔吐がある、食欲不振などの症状がある場合は、病院で相談したほうがいいでしょう。

また、出血をともなっているか、ウンチの色はどんな色をしていたかなども詳しく見ておきましょう。タール状のウンチだった場合、胃潰瘍や胃がん、十二指腸潰瘍などといった病気も考えられますので、早めに病院で診察を受けましょう。

4つ目は、ウンチと同時に肛門から出血しているという場合です。この場合、考えられるのは肛門嚢炎という病気です。

ワンちゃんのお尻には、肛門のやや下に肛門嚢という器官があり、強烈な臭いのする液体を分泌します。健康なワンちゃんは排せつの際に、この液体も体外に出されるのですが、小型犬や高齢犬はこの分泌がうまくいかずにたまってしまうことがあるのです。
すると、細菌が増殖し、炎症を起こしてしまう可能性があります。これが、肛門嚢炎です。

出血のほかにお尻の周りが赤くなっていたり、ワンちゃんがかゆさを感じていそうな反応を見せている場合は、可能性が高いでしょう。
軽度のものですと抗生物質の投与や肛門周りを清潔にすることで治りますが、重度化すると外科手術をして排膿と洗浄を行う必要も出てきますので、早期発見と早期治療が大事です。

5つ目は、ウンチの臭いがいつもと違う場合です。
この場合、ワンちゃんが何を食べたかもポイントになります。穀物や油分の多いものを食べさせると、ウンチが臭くなりますし、いつもはあげていない食べ物をあげると違う臭いがすると思います。ほかにも、食べたものが未消化のまま出てきた場合も、ウンチが臭くなってしまいます。

こうした可能性について思い当たらない場合は、ワンちゃんが何かを誤食した、誤飲したという可能性もあります。体に悪いものを食べていたら大変ですので、原因がはっきりしない場合は、病院で調べてもらった方がいいでしょう。

また、心配なのは下痢の状態だけではありません。下痢が続いて極度の脱水症状に陥れば、命の危険もあります。特に子犬は体力も少なく、体調も崩しやすいため、下痢の症状が出やすいものですので、よく注意しましょう。

まとめ

下痢の原因はさまざまなものが考えられます。中にはちょっと様子を見ていれば落ち着く場合もありますが、素人判断はオススメできません。
ただの下痢だと思っていると、重篤な病気のサインである可能性もあります。容体が急変したり、早期発見や早期治療が必要な病気である場合もあります。タイミングを逃せば長期にわたる治療が必要となったり、命にかかわるなどの重篤な症状に陥るケースもありますので、少しでもおかしいと感じることがあれば、すぐに動物病院に連れて行きましょう。