ブルドッグを知っているでしょうか。潰れた顔が特徴の犬で、不細工で可愛いと言っている人も結構いるようです。
しかし、もともとはこんなに顔がつぶれていなかったということをご存でしょうか。
ブルドッグの原種と言われるオールド・イングリッシュ・ブルドッグについて
オールド・イングリッシュ・ブルドッグですが、現在のブルドッグと比べると大型の犬になります。四肢が長く、顔全体が大きく顎が鼻よりも前に出ていますが、現在ほど潰れていませんでした。
たれ耳や折れ耳で、尾が長いのですが、どちらも切断されて立たせたり短くしたりしたようです。
忠実でのんびりした性格ですが、鎖に繋がれた牛と戦わせるブル・ベイティングでは一変、凶暴な性格になり、容赦なく動物を攻撃しました。加えて粘り強さも持っていたようです。
その歴史は12世紀頃のブリテン諸島、ブル・ベイティングが人気になったところまでさかのぼります。
はじめはマスティフという犬種でしたが、16世紀頃に王室でもブル・ベイティングが開催されるようになる中で、品種改良が進んでいきました。
1835年に残酷なスポーツが法令で禁じられると、ペットや番犬として使われるようになりました。
同時期に欧州でドッグショーが盛んになり、ブルドッグもショードッグの一員だったようです。
その際に特徴を強調するように改良され、1879年に公認犬種となり、古い姿であるオールド・イングリッシュ・ブルドッグは消滅しました。
最初は牛と戦うために改良されていた
説明した通り、もともとは牛と戦わせるために改良されていました。
鼻よりも顎の方が前に出ているのは、牛を噛んでいても呼吸が出来るようにですし、現在のブルドックと比べたら大きいとはいえ、犬全体としてはあまり大きくなかったのは、牛の角に突かれないようにするためです。
しかし、現在よく見るいわゆる「ブルドッグ」の姿は、ペットとして改良されてきたものになります。
ブル・ベイティングを行うときの凶暴な性格はペットには不要ですから、より温厚な性格になるようにしていますし、飼いやすさの面から小型化しています。
特徴的な容姿をしていますから、その特徴をより前面に押し出して今のような姿になりました。
言ってしまえば人間の都合ではありますが、ブル・ベイティングが禁止された後、需要がなくなっていくブルドッグを守るために、熱心なブリーダーがペット用として品種改良していったという話もあります。
また現在ではかつての姿である、オールド・イングリッシュ・ブルドッグを復活させようという動きがあります。
ブルドッグは改良しすぎてしまった
ペット用に飼いやすさを追求してしまった結果、ブルドッグは他の犬に比べてたくさんの問題を抱えるようになってしまいました。
まず鼻が短く移動が狭いため呼吸がし辛く、鼻がつぶれてしわが多いことで体温調節が苦手になってしまいました。そのためブルドッグは高温を苦手としています。
この鼻のしわには汚れもたまりますし、顔がつぶれているせいで涎などの衛生面での問題もあります。
そしてブルドッグは自然分娩を行うことが出来ません。
要するに自分で出産することが出来ないのです。
そのためブルドッグが出産する場合には、帝王切開が必須となります。
自然分娩できない理由としては、骨格ががっちりしている上に頭が大きく、産道をうまく通ることが出来ないからです。
自然分娩させようとしたら、子犬が窒息死したり、母犬が死んでしまったりという危険が高いです。
改良とは言うけれど
ブルドッグにしてみれば、良いことはあまりなかったことでしょう。
人間のエゴで今の姿になったのですから、これからも人間がしっかりと面倒を見てあげる必要がありますね。