痛覚

痛みというものはとても主観的な感覚です。
全く同じ刺激を与えたとしても、人によって感じる痛さが違うように見えますよね。
そんな痛いという感覚は、犬であっても持っています。

そこで今回は犬が感じる痛さについて考えてみましょう。

犬の痛覚が人の1/5というのは本当か

獣医の中には、犬の痛覚が人の1/5程度だという人がいるようです。
これが本当かどうかは、何とも言えないでしょう。人であっても、個人個人で大きく違うわけですから。
ですが、痛覚がないということはありません。

一般的に痛覚は身体を守るための役割を持っていますから、常に命の危険がある野生で生きていた犬にとって痛覚は重要な感覚なのでしょう。
しかし野生動物の場合、怪我といった肉体的な弱みを見せると、命を狙われる可能性が高まるのも事実です。
ですから、痛みを隠し耐えることが本能の中にあります。

野生で生活していた犬も同じで、痛みがないわけではなく、本能的に痛みを隠しています。
この「痛みを隠す」姿を見て、人よりも痛みを感じないと考える人もいるのでしょう。
しかし個人差はあるものの、人間と同じように痛みは感じているのではないでしょうか。

犬は痛みを伝えません むしろ隠してしまいます

犬が痛みを隠すという話はたったいましました。
今まで犬を飼ってきて、痛みを伝えてくれたらいいのにとか、苦しいなら言ってくれればいいのにと思った人も多いでしょう。
残念ながら、それはなかなか叶いません。

ですから、飼い主さんが愛犬の痛みを予測し、見抜くようにしてあげるようにしましょう。
痛みには急性痛と呼ばれる、「3か月以内で収まる一時的な痛み」や、慢性痛と呼ばれる「3か月以上継続する持続的な痛み」があります。
どちらであってもいち早く気づいてあげることが大事になりますが、特に慢性痛の場合には犬自身が痛みに慣れることもありますし、犬の危険信号を飼い主が普段の行動と誤認することも考えられます。

ですから、何か異変があった場合には迷わず病院に連れて行ってあげましょう。
病院に行って元気になったように見えても、気を抜いてはいけません。
病気や怪我の治療を進めていく中で、ちゃんと回復しているようで、完治しそうだと思っていたのに、急死してしまったという例もあります。

元気そうに見えて、実は体調が悪かったということは少なからずあるわけです。

犬の痛みに気づいてあげるにはどうしたらいいの?

痛みを伝えてくれない犬の痛みに気づくのは簡単ではありません。
愛犬を日ごろから観察しておくことが大事になります。
そして普段との違いにいち早く気づいてあげることです。

とはいえ、痛み以外の原因で変わった行動もしますから、痛みを感じているときに犬が見せる主な行動をまとめておきます。
まず姿勢や体制として、腹部を弓なりに持ち上げて保護していたり、異常な姿勢で座っていたり、固まったまま動かなくなってしまったりしたときには痛みを感じています。

動きや歩き方としても、こわばっていたり、足を引きずっていたり、しっぽの動きが少ない時は要注意です。
震えている、同じ場所をぐるぐる回っている、イライラしている、毛づくろいをしなくなったというのも痛みの兆候です。
最後に鳴き声にも注目してください。
高い声で鳴いたり、無意味に吠えたり、全く声を出さなくなったりしたら痛みを我慢しているかもしれません。

まずは普段の行動を知っておくこと

普段鳴かない犬が急に意味もなく吠え始めたら、何か異常があるのだろうと気が付くと思います。
ですが、愛犬が普段から吠える犬なのか、それともおとなしい犬なのかを知らなければいつも通り吠えているだけだと勘違いするかもしれません。
いまのは極端ですが、痛みを知らせる行動を知っていても、普段を知らないと意味がないこともありますから、普段から愛犬には気を配るようにしてください。