水頭症

人間であっても医療技術が進んでも完治させることが出来ない病気があるように、犬であっても、治すことが出来ない病というものがあります。
その一つが水頭症です。どの犬種であっても発病する恐れがある水頭症がどのようなものであるか、お話していこうと思います。

水頭症は文字通り、頭に水が溜まってしまう病です

水頭症はその多くが先天性のもので、冒頭で書いた通り完治させることが出来ない病気です。脳脊髄液が脳室内に溜まる病気ですが、溜まる理由として「過剰生産」「循環不順」「吸収阻害」の3つがあります。
症状としては、頭がドーム状に膨らむ、動作が緩慢になり眠っていたりぼんやりしたりしている時間が長い、急に吠える・興奮する、食べ過ぎ・食欲不振、転んで立ち上がれなくなる、痙攣をおこす、目が見えなくなるなどがあります。

水頭症になったからと、全ての症状が出るわけではなく、ぼんやりする犬もいれば、興奮する犬もいます。
先天性のものと後天性のものとあり、先天性の場合遺伝が主な原因です。
後天性の場合には、頭部の外傷やウイルス感染での脳炎、脳腫瘍が原因となります。

どちらにしても脳脊髄液が脳室にたまるというのは変わりません。
発症する時期ですが、先天性で生後3~6か月の間に症状が出ることが多く、後天性の場合には年齢により左右されません。
冒頭でも書きました通り、現在完治させるような治療はありませんが、軽度であれば脳圧を下げるために脳圧降下薬を投与することで一時的に回復させることが出来ます。

また進行した場合には、脳内に溜まった脳脊髄液をチューブを使って、お腹に通す手術を行いますが、完治を期待できません。
どちらにしても、一生付き合うことになるでしょう。

水頭症を発症しやすい犬種とは

一般に短頭種の小型犬によくみられる病気だと言えますが、中でも代表的な犬種としてチワワがあげられます。
チワワは病気や怪我をしやすいという面もありますし、チワワのアップルドームと呼ばれる頭の形も水頭症になりやすいようです。
水頭症は精神障害が多いとされていますから、歩行が困難になっていたり、痴呆になったり、旋回運動を繰り返したりという場合には、水頭症を疑った方が良いかもしれません。

水頭症の犬が生まれる確率はどれくらいか

全ての犬で発症する恐れがあると言いましたが、犬種によっても発症のしやすさは違います。
犬全体を見たときに水頭症の発症確率は1.9%ですが、チワワになるとその確率が3.3%にまで高くなります。
たかだか3.3%と感じる人もいるかと思いますが、100頭集めたら3頭は水頭症だと考えると見て見ぬ振りもできないでしょう。

水頭症は主に遺伝によって発症するものですから、水頭症の犬を交配させなければ、生まれてくることはありません。
それなのに交配させているブリーダーにも、責任があるという言い分も目にします。

水頭症=短命の覚悟をしないといけない

医療が進めば、水頭症の治療法が見つかるかもしれません。
今でも早期に発見できれば、症状を抑えつつ生活をすることが出来るでしょう。
しかし現代においては治療法がなく、この病気によって寿命が縮められているということは明らかです。

もしも愛犬が水頭症だと診断された場合、飼い主は選択を迫られます。
1つは寿命が来るまで、大切にお世話をすることで、もう1つが安楽死を選択するかです。
どちらであっても、飼い主としてはつらいものだとは思いますが、ペットを飼う上でこういった可能性があることは頭に入れておいた方が良いです。

確率だけで見た場合、ペットショップに100頭の犬がいたとしたら、その中の1~2頭は水頭症です。チワワばかりを集めていたら3匹になりますが。
2%ほどとはいえ、ありえない数字ではありませんから、まさか自分だけはという考えは捨てましょう。

水頭症の子を飼うにはお金も時間も苦労もかかる

水頭症になった犬を飼うとなると、病院に連れていく時間もお金もかかります。言うことを聞かなくなり、苦労する場面もあるでしょう。
そのため、よく話し合ってから買うかどうかを決めてあげてください。