犬に玉ねぎは危険

玉ねぎをはじめとするネギ類。栄養満点ですし、料理のレシピとしても豊富で、毎日の食事で一度は食べているという人も多いのではないでしょうか。

そんな万能野菜ですが、ペットがいるご家庭では、玉ねぎ・ネギ類の取り扱いに注意する必要があります。

ここでは、

  • 玉ねぎがペットによくない理由
  • 誤飲してしまったときの対処法

などについて取り上げていきます。

「玉ねぎ・ネギ類」を食べられない動物って意外と多いんです

人間にとっては元気の源といっても過言ではない玉ねぎ・ネギ類。高血圧予防になる等で、料理のレシピも豊富で、毎日何らかの形で食べる機会がありそうな、積極的に摂っていきたい食材です。

ですが、これは人間の場合の話で、犬などのペットにとっては、「玉ねぎ中毒」または「ネギ中毒」といって、命にかかわる危険性をもった怖い食べ物です。

この『玉ねぎを食べてはいけない動物』、犬がダメなことは比較的知られているようですが、実は、ほかの動物の中にも危険があります。

よく言われているところでは、

  • ウサギ
  • ハムスター
  • フェレット
  • インコ

などもあります。
ちなみに、人間に近いサルも、まったくダメではないのですが、食べ過ぎるとよくないと言われています。

犬が玉ねぎを食べると発症してしまう「玉ねぎ中毒」とは?

玉ねぎを始めとしたネギ類は、犬が食べると「溶血性貧血」という貧血を起こしてしまいます。これが「玉ねぎ中毒」です。

ネギ類とは、玉ねぎ以外では長ネギ、ニラ、アサツキ、ワケギ、にんにく、らっきょう、青ネギ、エシャロット等を言います。

これらネギ類には、「アリルプロピルジスルフィド」という有機硫黄化合物が含まれており、犬などの動物の赤血球内にあるヘモグロビンを酸化させ、溶血性貧血を起こす原因となります。


【玉ねぎ中毒の主な症状】

  • 元気がない(フラフラしている等)
  • 強い嘔吐、下痢(数時間~数日後と、時間差で症状が出る可能性あり)
  • 血尿(血便になることもあり)
  • 黄疸(犬の場合は眼球の白目が黄色っぽくなっているか確認)
  • 痙攣etc..

食べた直後に症状が出るわけではないため、何らかの症状が出ても「これは玉ねぎ中毒だ」けと気づけないことがあります。

愛犬が玉ねぎを食べてしまった場合の対処法

まず何よりも動物病院へ!

様子がおかしい時点で、一刻も早くかかりつけの動物病院に連絡を入れて指示を仰ぎ、診察を受けましょう。
玉ねぎ中毒には、残念ながら今のところ専用の特効薬はなく、点滴や、玉ねぎの毒性を中和させるためのビタミン剤投与などの治療が行われることになります。

誤飲した直後に気づいたら?

誤飲してしまった直後に気づいた場合は、1時間以内に吐き出させてください。(難しい場合はすぐに動物病院へ)
もし、手の届く口内に玉ねぎがあった場合はすぐに取り除き、ガーゼを水で濡らしたもので歯の隅々までしっかり拭き、玉ねぎエキスが残らないようにしてください。
もちろん、その後は動物病院での対応をしてください。

そもそも、どれくらいの量の玉ねぎを食べたら危険なのか

いわゆる「致死量」ということになりますが……。
きっちりとした数値を示すのは難しいですが、一般的には、
「体重1kgに対し、玉ねぎ約20g以上」
と言われています。

ただし個体差があるので、ほんの一切れ食べただけで玉ねぎ中毒を起こした犬もいれば、大量に食べてしまったのに何でもなかった、大丈夫だったという例もあります。

とはいえ、平気そうだからと慢性的に食べさせていた場合、肝機能の低下や貧血気味だったりするような症状が出ていることもありますので、玉ねぎを与えるのは基本NGなのです。

※玉ねぎ中毒になりやすい犬種もいる
玉ねぎ中毒になりやすい犬種もおり、この点について柴犬や秋田犬はよく知られています。
これは、遺伝的に持っている「高カリウム赤血球」が血液中に流出することで「高カリウム血症」となり、死亡の確率が上がるといわれているためです。

動物病院での玉ねぎ中毒治療法

先述しましたが、玉ねぎ中毒そのものに特効薬はなく、点滴、ビタミン剤、強心剤、利尿剤などの投与を行い、催吐や胃洗浄といった対処をとることになります。
また、貧血がかなりひどい場合は、輸血の対応がとられることもあります。

玉ねぎを誤飲させてしまうケースとは?

【調理中のミス】
例えば、切った玉ねぎを床に落としてしまった等、犬の口に入りやすい状況にならないよう注意が必要です。
中毒の原因となる「アリルプロピルジスルフィド」は、加熱してもなくなりません。

むしろ料理した中に溶け出しているので、調理している最中のものを「ワンちゃん用に」と取り分けるようなことも避けてください。

【うっかりミス】
気をつけていたつもりが、“うっかり”玉ねぎが入っている料理(シチュー、カレー、コロッケ等)を与えてしまったケースもあります。

スープや味噌汁も、もし玉ねぎが入っていた場合は、その形がなくても玉ねぎエキスが染み出ていますので、絶対に与えないでください。

【多くは人間の不注意】
「犬が玉ねぎを食べる」に陥る状況は、人間側(飼い主)の不注意が引き起こしているケースが多々あるようです。

ワンちゃんの中には、飼い主が食べているものに興味津々で食べたがったりする子もいます。与えるものにネギ類が入っているかの確認は、絶対に怠らないようにしてください。

人間とは違う生き物であるということ

犬は、長い歴史の中で“人間の身近にいる動物”の代表格といっても過言ではありませんが、だからといって体構造が同じように進化したわけではありません。

体のつくりが違えば、食べられるものにも違いがあって当然で、「でも家族なんだから人間と同じように」とはいきません。

愛犬の体質や、犬という生き物としての特徴をきちんと理解し、知識を持って共同生活をしていくことが本当の愛情であり、慈しむことだということを忘れないでください。